奥の和室の壁一面、
えもんかけに、
十枚くらいぶら下がっていたままの
母の着物。
「着物って洗ったっけ? 」
昨夜、ヨーコさんに聞いた。
「今のは洗うけれど、昔のものは洗わないねえ」
ヨーコさんは着物の着付けができるから、
言葉に信憑性がある。
朝、ベランダでほこりを払い
(まあ、気休め)
一枚ずつたたんだ。←ちゃんとたためます。
私は着物のことはよくわからないが、
大島とか紬くらいはわかる。
全部、母が言うところの
「クリクリした素材」だった。
「私が死んだら、私の着物は
全部、けいこのものだでねえ」
母の口癖を思い出しながら
たたんで、片づけた。
良いものってはわかるけれど、
私は自分で着物を着ることさえ、
できない。