浜松の会社のさらに奥に
従業員70名の
縫製工場があったものの、
この春、倒産したのだそうだ。
生産部の○ダシさんが、
「格安でミシンが分けてもらえるらしい」
そう言うので、トラックで出発した。
働く人がいない工場は
廃墟みたいだった。
買えばものすごく高い(一台100万円!)ミシンが
所狭しと並んでいた。
ほ、欲しい。
しかし、ミシン屋さんに確認したら、
この工場のミシンはすべて高電圧モードで、
うちの仕様にするためには、
一台あたりの加工賃がかかる
↑
しかもリスクつき。
だいいち、うちの会社は、
こんなにたくさんのミシンが入らない。
要らないものを譲ってもらってもねえ、
そう思ってあきらめた。
片づけしていた人はふたり。
「2月の給料がまだもらっていないんです」
「職安にも行っていますが、この状況じゃあね」
草が青々と伸びている庭を見ながら、
そんな話を聞いた。
「私たちはがんばろうね」
帰路、○ダシさんと話し合った。