古い知り合いから
電話がかかってきた。
「アップルハウスの
一角をちょっと貸して
もらえない ? 」
彼はその昔、
大手チェーン店の
バイヤーさんで、
その一言で
大量の注文が
発生したり、
取り消されたりしたものだ。
当時、新興メーカーだった
私は
彼の前に出ると、
必要以上に
緊張し、機嫌をそこねてはいないかと、
神経を配っていた。
↑
そのDNAは
未だにある。
「いえ、
アップルハウスは
作って売っている
会社ですから、
他メーカーのものは
一切取り扱わないのです」
↑
やっと言った。
「そうだよね、
それはわかっているんだけれど、
僕との付き合いが
あるから、
もしかしたらと思って
電話したんだよ」
チンと電話が切れた。