リヤカーを見る

地下鉄を降りて、
自宅へと向かっていると、
後ろから、人よりも速く
自転車よりは遅いモノが
来るのがわかった。

何かな?

立ち止まって、
道を譲る形をとった。

小さなリヤカーを
引いている人と
目が合った。

「さっきまで
駅で売っていたんです。
半額にしますから
買ってください」

えっ!

荷台を見たら、
りんごと柿が
並べられていた。

10個ずつくらい。
柿
うーん

1個ずつだったら、
買っちゃったかも
しれない。

ごめんね、
私は独り暮らしだから
買えないの。

そう言ったら、

なあんだ、と呟いて
リヤカーの人は
私を通り越して、
ずんずん先に行った。

近くに住んで
いる人かな?

大五郎


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