121/133 住み手の要求の自己解体をこそ 小野二郎

 

121/133 住み手の要求の自己解体をこそ

小野二郎

 

 

理想の家とはなにか?

 

生まれ育っていくなかで

理想の家はそのかたちを変える

 

夫婦だけの暮らし

やがて子供(たち)が生まれ

 

生まれた子供(たち)の個室が欲しくなる

 

やがて

子どもたちが成長し

就学や結婚で

家を出ていく

 

残った夫婦は

年老いて

段差のある床や

個室がたくさんある家が

住みづらくなる

 

さらに夫婦のどちらかが逝けば

独居老人になる

 

住む人の

理想の家は

時代と共に変わっていく

 

・・・だからこそ

家にすべてを求めるのではなく

 

借りているものだと

考えればいい

 

こんなことを書いていたら

方丈記の出だしを

思い出した

 

「ゆく河の流れは絶えずして

しかももとの水にあらず」

 

私たちもまた

歴史の一部分の上を

歩んでいるに過ぎない

 

 

 

 


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