26 車がこんなにふえるとは思わなかった 自転車屋

フクダエイタロウさん(1929年生)

 

17歳のとき

姉の嫁ぎ先の自転車屋で

働き始めた

 

店は日本橋で

繊維の街

 

荷物の運搬の主役は

自転車で

繊維を取り扱う店は

年に一回 自転車を買い替えた

 

お客さんのほとんどが

顔なじみだったから

売った自転車の様子を見に行き

壊れそうな箇所があると

店に持ち帰って 直して 届けた

 

 

積み重ねた信用で

店は繁盛し

エイタロウさんは

27歳で自分の店を浅草に開いた

 

ところが

客層が違う

壊れる前に直すのはもったいない

壊れるまで乗るという気質

 

加えて

オートバイと自動車の時代が

幕開けし

 

女性が自転車に乗るようになると

安売り自転車が大型店の店頭に

並び始めた

 

フクタロウさんは言う

戦後 いろいろなモノの価格が上がったけれど

 

たいして価格が上がらなかったものは

自転車とタマゴだと

 


ご意見ご感想はプラットホームにどうぞ

Share:

アーカイブ