字の勢い ちょうちん屋

マスダトシロウさん(1928年生まれ)

 

理工系大学を出た

マスダさんは

ベークライトを作る会社の研究所で働いていた

 

一方で家業の

ちょうちん屋は祭りの時期に

仕事のピークを迎えるので

家族総動員体制になる

 

マスダさんも

会社を休み

ちょうちんを作った

 

しばらくサラリーマンをしたけれど

会社勤めは性に合わないと

後継者として

ちょうちん屋を継いだ

 

ちょうちんはある意味で

消耗品だから

形がそのまま残ることはない

完成品が残らないので

技術の伝承もまた厄介

 

さらに

明かりがろうそくから電気に代わり始めた

 

けれどマスダさんは

ろうそくの光が和紙を通して見える

暖かい感じが好き

 

一番の苦労は

提灯の文字入れ

 

・楷書

・草書

・相撲文字

・ゴシック体

 

それらを

心得ていないと

仕事にならない

 

特に

江戸文字

 

半纏の衿や千社札など

決まった大きさのなかに

おさまるようにできた文字で

完成度が高い

 

さらに家紋の知識も必要で

時に絵入りちょうちんも作る

 

 

マスダさんが

心がけていることは

手を抜かないこと

 

一度いい加減な仕事をしてしまうと

元に戻らなくなる

 

だから

心を込めて

気合を入れて

ちょうちん文字を描く

 

 

 

 


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