国立研究所で
物理学者として働いている
ディミトリさん
研究所は
メキシコ州ロモアラモスにあり
この町は科学者たちだけが住む
閉鎖的な共同体だ
毎日が同じ
進むのは時計の針だけ
すると
小さな声が
頭のなかでささやく
「とてもがまんできない
解決法はひとつしかない」
死ぬこと
それが唯一の
脱出口だと
躁うつ病を患っている
ディミトリさんにとって
この病こそが
生きていくための贈り物だという