イタリア系アメリカ人の彼にとって
ムッソリーニは英雄だった
彼はイタリア人であることに
誇りを覚えていた
アメリカ人として
アメリカで暮らすことは
好きではなかった
家の外では
英語を使ったけれど
家に帰れば
家族はイタリア語で話した
米国で暮らすイタリア人たちは
疎外感を味わっていたのに
イタリア人たちのなかでも
いざこざが絶えなかった
だから彼は
イタリア人であることを
公言しないでいた
日本がイタリアと
同盟を結んだ時
日本がパールハーバーを
襲った時
彼はイタリア人だと公言しないで
生きてきたことをよかったと思った
それから
これからアメリカ人として
生きていけると思った