サイレンは二種類あった
空襲警報は
唸るような音が
大きくなったり
小さくなったりした
その音を聞くと
ベーカーさんは
冒険映画のなかに
いるような気持になった
なにかがこれから
起こることを
真剣に願ったりした
サイレンが遠くに行き
鳴りやむと
なにもも起こらなかったけれど
失望した
なにかが起こることを
期待していたからだ