見ようとした心 戦時中の金沢

演壇の校長先生は言った

先生がひとつ目の扉に

手を触れたら

あなたたちは目を

伏せなさい

 

決して顔をあげて

このなかにあるものを

見ようとしてはいけません

 

けれど 扉のなかにあるものを

見たかったヤスコさんは

見たい気持ちの方が強くて

顔を上げた

 

 

すぐに他の先生に

みつかって

ヤスコさんと何人かの

子どもたちがみつかった

 

目を上げた子どもたちは

全員 講堂の後ろに立たされた

 

それから

壇上にのぼり

名前を言い

見ようとした心を

持ったことに対して

謝るように言われた

 

 


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