ドイツ軍に包囲された街の
ラジオはスイッチを入れても
何も流れてこなかった
生き残った人たちは
おがくずとニカワで作った
一日一枚のパンを食べて
生命をつないでいた
自分が生きているのか
死んでしまったのかわからなかった
そうして
ラジオをつけるのだけれど
何も聞こえない
けれど 気づく
その隣で
メトロノームがチクタクと
動き 音を出している
ああ
自分はまだ生きている
このメトロノームの音は
レニングラードの鼓動だ
街もまた生きている