村を焼きはらって
その様子をカメラにおさめていても
リチャードさんに「戦争」の実感はなかった
爆弾が飛んできても
自分には当たらないと思った
戦友が腕のなかで死んだ時は
墓穴を掘り
恭しく葬った
戦争とか死とか
そういうものはリチャードさんがおさめた
フイルムのなかにだけあって
現実にはない
そんな感覚で日々が過ぎていた