戦後 アメリカ軍は
U-505を引き上げて
アメリカのものにした
潜水艦のなかで
ゲベラーさんは死んだとされた
ひとり息子だった
ゲベラーさんの死を最も悲しんだのは
母親だった
けれど母親はこう言っていった
「あの子は生きているに違いないわ」
4年後
ゲベラーさんは
捕虜になっていた場所の
鉄道の駅から
故郷に電話を入れた
僕は生きているよ