119/133 21世紀の包(パオ)
伊東豊雄
21世紀
東京の少女は
ひととき
遊牧少女になる
重苦しくて
慣習に縛られた家から逃れて
包(パオ)で暮らす
丸い包の真ん中にベッドがあり
周囲に
三つの家具が置かれている
ひとつ目は
おしゃれをする家具
ふたつ目は
知識する家具
三つ目は
軽食する家具
自分だけの心地よい世界から
雑踏の街を彷徨いながら
少女たちは大人になり
重苦しくて
慣習に縛られた家庭を作る
生きていくってこういうことだ