第二次世界大戦が終わって
夫が戻ってきた
彼女は
元の暮らしが始まると思った
戻ってきてすぐに
住んでいた住居の窓から
人が動くのをみた夫は
反射的にピストルの引き金を引いた
夫が殺したのは
ごく普通の女の人だった
その町で暮らしたくなくて
引っ越しをした
新しい町には
夫の戦友たちがいて
毎晩 酒を飲んでいた
その頃
夫とその友人に勧められるまま
彼女も入れ墨を入れた
ほどなく妊娠して
産婦人科に通うことになった彼女は
診察のたびに
入れ墨に向かい合うことになった