スラム街で生まれた彼の
生活はとても惨めだった
食べ物は
塩かラードを塗った
パンだけだった
冬の楽しみは雪が降ること
雪が降ると
非常階段に出て
雪をとってきた
器に入れて
とっておきのコンデンスミルクを
かけて食べるのが
とっておきの幸せなひとときだった
成人になって
第二次世界大戦が始まった
ある日
ステッカーを見た
「ファシズムと戦おう」
それで彼は
軍人になった
寝るところも
食べ物も
着るものもあった