1946年 ハンリーさんは
遅い帰国をした
陸軍のオーバーを機て
少しやぶけたズックを
履いていた
電車を降りたら
目の前に飲み屋があった
女将がウィスキーの大きなグラスに
ビールを注ぎながら
「おかえり 坊や」と言ってくれた
数杯 ビールを飲んで
勘定をしようとしたら
女将は決して
受け取らなかった
「おかえり 坊や」
この言葉がふいに甦る時がある