フリーダさんたちは
病棟から病棟へ
ステージを移して
3時間歌い続けた
帰ろうとした時
別の介護人から声がかかった
私のところにも
あなたがたの歌を聞きたがっている
若い連中がいます
介護人からのリクエストは
ソフトで リラックスできる歌がいいと言われた
案内された病棟は
壁が厚い
精神病患者用の病棟だった
フリーダさんたちは
「リンゴの花が咲くころ」を
歌い始めた
途中からハミングする声が聞こえた
調子が外れていた大声だったが
ハミングは繰り返し続いたので
フリーダさんたちも
同じ歌を歌い続けた