私の子供

中野店はお客様が
絶えないので、
目礼だけして、
帰ることにした。

…その前に
お手洗い。

すっきりして、
再び、
アップルハウスの
店頭を見たら、
店長が
ニコニコして
手招きする。

「とても長い
 お得意様です」

「どこから
 話したら
 いいのかしら。
 アップルハウスと
 私はとても
 長いの。
 思い出がある
 服が多くて、
 着なくなっても
 捨てられないの」

お客様の
思い出のなかで
生き続けている
洋服は幸せだ。

アップルハウスを
続けなくては。

「店長を
 よろしくね。
 私のもうひとりの
 子供なの」

お客様が続ける。

店長も
幸せ。

黄色い花


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