ドラえもん

ドラえもん

娘が法事のために
実家に来た。

「お母さん、化粧水を
貸して」

「クリームは?」

「足の爪が伸びている。
爪切り出して」

「オロナイン軟膏はどこ?」

「黒のストッキングを忘れた」

実家は実家で
私の家ではない。

どこに何があるか
掌握していないモノも多い。

むきききっ。プンプン

「母はドラえもんではない」と
娘に言ったのが昨日。

沖縄の弟の奥さんは
今日、帰ったので、
夕食作りは当然、
私の役割だから、
時間がかからない
やきそばにした。

「晩御飯できたよ」

ふつうの声で言っても
テーブルにつこうとしない。

近くまで行って
「ご飯だよ」と
言ったら、
のっそりと立ち上がって
ご着席。

「ソースどこ?」

ここだよと出したら、

「とんかつじゃなくて、
ウスターソース」と言う。

冷蔵庫と調味料入れを
探したらあった。

「かつおぶしは?」

探してもなかった。

「紅しょうがは?」

買うのを忘れた。

うまいも
まずいも
言わずに食べた。

おかわりしたから、
美味しかったんだろう。

「つまようじ出して」

引き出しから
出して渡したら、
木枯らし紋次郎みたいに
銜えて席を立った。

昨日の今日だったので、
ビキビキッとなった。メラメラ

私はふたりの
ドラえもんか?

ドラえもんプンプン


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